Someday Somewhere

A little something to say in my everyday life

『ちいさなちいさな王様』

柳田邦男氏の『砂漠でみつけた一冊の絵本』について書いた記事の中で紹介した「おとなにすすめる絵本」24冊の中に入っていた『ちいさなちいさな王様』。 原作はドイツのアクセル・ハッケという人で、南ドイツ新聞の政治部記者をやりながら書いた絵本。

STAP細胞でいろいろな意味で一躍時の人となった小保方さんが中学生の頃読んだとかで、この絵本も急に注目を集めたそうだが、それはこの絵本を読み終わってから知ったことだった。

まあそれはともかくとして、「おとなにすすめる絵本」24冊のリストに入っているからなのか、大人も読むといい絵本とかで検索すると必ずといっていいほど登場する。 そんなサイトには、絵本の表紙の画像が載っているわけだが、この表紙の絵が、本のタイトルと同様、何かわくわくするような事が起こるのではという想像をかきたててくれる。 小さいのだが、ただ可愛いという感じでもない王様の絵。 これはついつい手にとりたくなる。

実際に読んでみると、んー、なんと言っていいのか…。 ある日突然現れたちいさなちいさな王様は主人公と時を共に過ごすわけだが、その主人公は、子供と思いきやれっきとした大人の男性。 勝手に想像していた私は、主人公は男の子だとばかり思い込んでおり、もっとファンタジックな内容を期待していた。 そのせいもあってか、とても感動したとは言い難い。

王様の世界では、生まれた時は大人で、その後だんだんと小さくなっていく(とは言っても体のサイズが小さくなるだけで、実際、絵本の挿絵の王様は既に人間の人差し指ぐらいの大きさなのに、幼児の面影はない。 ただ、いろいろな事を忘れてしまうらしいが)。 そんな世界で生きてきた王様と主人公「僕」とのやりとりで、例えば、私たちは子供の頃いろんな夢を持っていたことや想像力をいっぱい働かせて毎日を送っていたことなどを思い出させてくれる。 でも、そういうことに思い当たることって、この絵本に限らず、普段の生活の中のふとした出来事でもありうること。

もっとストーリーが展開するのかと思ったのだが、そういうわけでもなく、いまいちだった。 ただ、絵本に限らず、多くの人に読まれ続ける本というのは、一回読んで「はい、終わり」というものではなく、人生の中で何か、いつもと違う思いをもったときなどにもう一度手にとって読むものだと思っているので、この絵本も、またその内、読んでみようと思っている(でも、今回は図書館で借りてきて読んだんだけど)。