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『ことばから誤解が生まれる - 「伝わらない日本語」』

ことばから誤解が生まれる - 「伝わらない日本語」見本帳 (中公新書ラクレ)

ことばから誤解が生まれる - 「伝わらない日本語」見本帳 (中公新書ラクレ)

 

先日読んだ『辞書を編む』の著者が書いた本。 著者の飯間浩明氏は、日本語学者及び国語辞書編纂者である。 特に国語辞書の編纂にたずさわっているということもあり、今使われている日本語の実例を日頃から収集しているようで、著者の手元にはきっと膨大な用例のデータがあるはず。 そんな著者だからこそと思える内容は、読んでいる人も、「そう、そう、そんなことってあるよね」と頷ける場面もあったりして、スラスラと読み進めることができる。

大まかな内容は、本のタイトルからもわかるとおり、言葉を使うがために起こる誤解について。 とは言っても、言葉を全く使わずに生活することはほとんど無理な話しだし、また、言葉を使わなければ誤解が生まれないかというと、そうとも限らない(この沈黙に関しては、本書の後半部分で著者が触れている)。 そんな、言葉から生じる誤解を幾つかのパターンに分け、例を見ながら説明している。

著者がグループ分けした誤解が生じるパターンとは、「音声から生まれる誤解」、「文法から生まれる誤解」、「語義から生まれる誤解」、「状況から生まれる誤解」、「表現意図から生まれる誤解」、「沈黙」、「決まり文句の両面(これは、決まり文句を使った時の良い効果と悪い効果について)」。 音声から生まれる誤解は、比較的簡単に誤解を解くことができるが、音声から文法、文法から語義、語義から状況と、後の方に出てくるパターンになるほど、誤解の程度が複雑になり、感情などもからんだりして、誤解を解くことが難しくなると著者は書いている。

言葉からくる色々な誤解、できることなら誤解など生じないほうがいいと誰でも思うわけだが、話すにしろ、聞くにしろ、書くにしろ、読むにしろ、言葉を一切使わずに生活することは不可能。 著者も「結論から言えば、ことばの誤解がまったく生まれないようにすることは不可能です。 ことばは、その性質上、常に誤解の芽を含んでいます。 一言、二言とことばを加えるに従って、誤解の芽は成長します。 誤解の生まれないことばのやり取りはありえません。」(「はじめに」、p.4)と書いている。 使わなければならない言葉。 それではどうすればいいのか。 「こうすべき」とか、「こうすれば絶対大丈夫」などといった方法だけではなく、長年言葉を研究されてきた著者ならではの考え方が示されている。 著者の文章が読みやすいと感じるのも、言葉から生じる誤解というテーマを常に頭におきながら書いているからなのかもしれない。