Someday Somewhere

A little something to say in my everyday life

『ドキュメント単独行遭難』

 今年の8月3日にAmazon JapanでKindle Unlimitedというサービスが開始された。 月額980円で読み放題。 1ヶ月の無料お試し期間が設けられており、試しに利用してみた人も結構いたのではないだろうか。 「無料のお試し期間があるわけだし、ものは試し。 いろいろな人の口コミを読みつつも、実際に使ってみるのが一番」と思い、私も使ってみた。

まあ想像は十分してたけど、目障りなエロ系の本というか漫画が多く、どれだけ多くの書籍類を用意していますと謳っていようが、言葉が悪いが「味噌もくそも一緒」。 読みたい本がある可能性も低い。 そんな中で選んだのがこれ(↓)。 これは読みたいと思っていた本なので、Kindle Unlimitedに含まれていてラッキーだったけど。

 先日読んだ

『ドキュメント 道迷い遭難』 - Someday Somewhere

は山で道に迷って遭難した事例をまとめたものだが、こちらは一人で登山に行き、遭難した事例を集めたもの。

世間では「単独行は止めましょう」とさかんに言われているが、一人で山に入る人は相変わらずいる。 というか逆に増えている気さえする。 最近、山歩きをしていても、一人で歩いている人を以前より多く見かけるようになったと思う。 年齢や性別も様々。 お年寄りから若い人までいろいろ。 まあ、一人はなんと言っても気楽。 一緒にいる人に気を遣う必要もないし、自分のペースで歩けるし。

ただねー、単独行だからこそ、起こるかもしれない危険を十分過ぎるぐらい考えて行動していない人がいるから、単独行は遭難する割合が高いとか、単独行はいけないと言われてしまうんだろうなと思う。

経験の少ない人、自分の能力や体力をきちんと把握していない人、以前も歩いたことのあるコースだから、今まで遭遇した天候等の変化を含む自然条件で問題無かったから等々、本書に収められている事例を読むと、毎回同じではない自然条件やコース条件下では経験豊富な人でも遭難するという当たり前のことがよくわかる。 著者もあとがきで述べているが、できれば人に知られたくない遭難事故の取材を受けてくれた人たちがいるからこそ、こういう形で知ることができるわけで、山歩きをする人たちが参考にできる良い本だと思う。

また、本のタイトルにもある「単独行」。 本書には「単独行についての考察」という章があり、単独行に対する考え方、単独行を行う場合の各人の心構え等についても述べているが、一概に「良い・悪い」と結論づけることは当然のことながら難しい。 救助隊の方々からすれば、彼らも命の危険を感じながらの救助という場合もあるわけで、できることなら一人で山に入るのは避けて欲しいと思うのも当たり前のこと。 反対に、一人で山歩きをする人の中には、しっかりしたリスクマネージメントと経験を持ち、他人にとやかく言われるのは納得いかないと思う人もいるわけで。 本書にある遭難事例以上に、この章も読んで損はないと思う。

 


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