「美肌には化粧水もクリームもいりません」、テレビに登場する皮膚科の医師たちの中には、全く同じではないが似たようなことを言っている人もいる。 彼らが薦めるのはシンプルなスキンケア。
そのシンプルさを更に極めたような方法が宇津木先生が薦める方法。 とにかく簡単。 洗顔はぬる~いお湯だけ。 洗顔後は何もつけない。
著者である宇津木先生は「日本で最初のアンチエイジング専門施設・北里研究所病院美容医学センターを創設。 センター長を務める」となっている。 現在はクリニックを開いていらっしゃるようだが、このセンターにいた間に出会った患者さん達を見て、化粧品類がどれほど肌に悪影響を及ぼしているか、そし て「何もしない」という方法が肌にどれほど良いかということを認識したそうである。
本の中では、肌の仕組みをこれでもかというほど何回も説明しており、化粧品類に使われている防腐剤の怖さ、こすりすぎや洗いすぎが肌に与える悪影響等わかりやすく説明している。
この手の本で、カリスマ的な存在の人が書いた本を目にすることがある。 何冊か読んだことがあるが、ほとんどは一冊の本にするだけの内容が無いものも多く、がっかりさせられた経験がある。 そんな本に比べると、肌の仕組みから始まり、肌に悪影響を及ぼす物質や動作の理由等わかりやすく説明していて、著者の主張も一貫して述べられており、持っ ていても損は無い一冊だと思う。
口コミサイトなどでこの本に対する感想を見ると、「実際にノーメイクで日々の生活を送ることには無理がある。 そういう人向けに、ではどうしたらいいのか等の説明も̀欲しかった」といった類のコメントがある。 それはそうなのだが、でも著者が最も強く主張していることと基本的に相容れないことなので、あとは自分でどうやっていくかということなのではと思ったりもする。
メークをしつつ、でもできるだけ肌に負担をかけずにスキンケアをしたいという人向けのサイト、もしくはそう思って色々と実行している人のサイトも あったりするので、検索して参考にするのもいいかもしれない。 どちらにしろ、肌に負担をかけず、年をとってもきれいな肌でいたいと思う人は、少しずつ自分にできるところから実行してみるのもいいかもしれない。
この本を読んだあと、自分で実際に「何もしないスキンケア」を実行してみた。 「肌断食」といった言葉が使われることもあるが、とにかくぬるま湯で洗顔するだけ。 化粧水や乳液、美容液などは何も使わない。
もともと肌が弱く、ファンデーションが使えないこともあり普段からノーメークだったので、始めることは簡単だった。 数年は続けたと思うが、結果から言うとなかなか難しい。 難しいと感じた理由の一つは「そう簡単には肌がきれいにはならない」ということ。 本来の肌質やきめの細かさにもよると思うが、毛穴が目立たなくなるというのもちょっとやそっとでは変わらない。 それと同時に、1年365日、肌を取り巻く環境や生活環境が全く同じとは限らないこともある。 自分の経験から言えば、花粉が飛ぶ冬の終わりから春にかけて、花粉症ではないにもかかわらず肌の痒みがひどくなる。 痒いのでついつい手で触ってしまい、余計痒くなり、無添加石鹸で洗顔。 痒みが治まったにも関わらず、汗ばむ季節になってくることもあり石鹸洗顔を続ける。 すると今度は皮脂分泌を旺盛にしてしまう。 そこで洗顔後化粧水などを使ってしまうという悪循環というか元の木阿弥というか。
それでもどうにかこうにか自分に合った方法を模索しながら続けていたのだが、汗ばむ季節の耐え難い肌の痒みと乾燥が頂点に達してしまった。
今はどうしているかって? 夜は自分の肌が一番落ち着く洗顔料を使ったり、ぬるま湯だけで洗顔したりと適度という意味でのてきとーな洗顔。 洗顔後はオールインワン的なものを使ったり使わなかったり。 朝はぬるま湯だけで洗顔。 洗顔後は夜と同じ。 その後に石鹸洗顔だけでも落ちると言われているUVクリームをつけて終わり。
結局、理想的な方法があっても、絶対その方法や手順でやらなければならないと思う必要はないということ。 季節、食生活、体調、ライフスタイルなどの変化と関係して肌の調子も変わるわけで、大事なことは自分の肌の状態を常によーく観察してあげることが一番だと最近は思って過ごしている。