Someday Somewhere

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広東語の“唔該[m4 goi1 / ムコイ]”

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以前、香港に住んでいて、とても重宝した言葉のうちの一つに、広東語の「ありがとう」を意味する言葉で、唔該[m4 goi1 / ムコイ]というのがある。 これがけっこう使い道があって便利だった。

(1)「ありがとう」という意味。 但し、物やお金などをもらった場合は、多謝[do1 dze6 / ドーチェ]を使う。 唔該[m4 goi1 / ムコイ]は、サービスなどを受けた場合。

唔該の他に、唔該晒[m4 goi1 saai3 / ムコイサーイ]という言葉もよく使われるが、この晒は強調というか程度の強さを表しているようで、ただ単に「どうも」とか「ありがとう」ではなく、「ありがとうございます」とか「どうもありがとうございます」といったところだろう。

(2)「すみませーん」と呼びかける場合。 レストランで食事をし、お勘定をする際、テーブルから近くにいる店員に「すみませーん、お勘定、お願いします」などと言う場合、

唔該、埋単[m4 goi1 maai4 daan1 / ムコーイ、マイダン](埋単の後ろに語気助詞がつくこともある)

香港では、食事をしたテーブルから直接店員を呼び、その場でお金を払うことがほとんどだったのだが、レストラン内がかなり賑やかだったりすると、お腹に力を入れて、けっこう大きな声でこのフレーズを店員に言わなければならず、慣れるまでちょっと大変だった。 また、この場合、声も発することなく、もっと簡単な方法がある。 まず、レストラン内を見回し、店員と目があったら、片手を挙げ、手でサインを書く真似をする。 これも「お勘定、お願いします」という合図なので、店員さんがテーブルまでちゃんとやって来てくれる(これは、声の小さい私にはとても便利な方法だった)。

この他、レストランであれば、店員さんをちょっと呼びたい時とか、それ以外のシチュエーションでも、何かちょっと尋ねたい時などにも、唔該[m4 goi1 / ムコイ]を使うことができる。 この場合、英語のexcuse me.と言いながら相手に近づくとか話しかける場合と同じニュアンスになる。

(3)「すみませんが…」と相手にお願いする場合。 一番わかりやすい例としては、タクシーに乗って、ドライバーに行き先を告げる時、

唔該、去○○[m4 goi1 hoey3 / ムコイ、ホイ○○](○○まで行ってください)

のように使える。

また、混んだバスや地下鉄から降りるとき、周りにいる人に唔該とか唔該、唔該と言いながら動くと周りの人たちもよけてくれる。

ちなみに、ここでは広東語の発音をあえてカタカナで書いた箇所があるが、もちろん日本語の音と同じではない。 たとえば、唔該の音をカタカナで書いた場合、「ムコイ」と書く人もいれば「ムゴイ」と書いている人もいる。 発音記号はというと[goi1]だが、これは日本語の「カ」の濁音「ガ」と同じという意味ではない。 ちょっとややこしいかもしれないし、そんなこと別に知らなくてもいいと思う人もいるかもしれないが、とりあえず一言。 日本語は清音か濁音かを区別しているが、他の言語も同じとは限らない。 中国語のように清音か濁音かという区別ではなく、無気音か有気音かを区別するものもある。 だから、日本語の「ムコイ」でもなく「ムゴイ」でもないということになってしまうのだが、まあ、これはまたその内、別の記事に書くつもり。