Someday Somewhere

A little something to say in my everyday life

『遺品整理屋は見た!!天国へのお引越しのお手伝い』

 著者の吉田太一氏は2002年、日本で初めて遺品整理専門会社である有限会社キーパーズを設立。 一人暮らしの方が亡くなった後の遺品整理や住居の清掃を主に行う会社を経営している。

 この本もKindle Unlimitedの読み放題にラインアップされているのを偶然見つけて読んだ本。 この本の前作に

という本もある(こちらは読んでいないが)。

一人暮らしの高齢者が増えていると同時に、家族とか家庭がいろいろな形態をとるようになった現代、一人で暮らしている人は昔に比べると多くなっているのだろう。 また、ギスギスしているというか何かとストレスがたまりやすい世の中。 孤独死で亡くなる高齢者以外に、一人暮らしの人の自殺や病死といったケースもある。 遺族からの依頼を受けて現場に向かう著者とその会社の社員たち。 現場の様子は様々だが、死臭や大量のごみと格闘する以外に、遺族やアパートの大家さんとのいざこざの間に立って話しをまとめる手伝いをしたり、本業ではないことを頼まれたりと、心身共に大変な仕事だということが分かる。

この本を読んだのも、自分自身が遺品整理をしたことがあるからだが、この著者の会社の存在を知っていたらきっとお願いしたと思う。

うちの場合は、両親が若い頃からお世話になった方(男性)がいて、高齢になってから離婚をし一人暮らしをしていたのだが、病死というか寿命を全うしたというか、自宅で亡くなっていた。 毎日配達に来るお弁当屋さんが気が付いてくれたので、死後それほど時間は経っていなかったらしい。 小父さんは兄弟もなく、自分の子供さんもいなかったので本当に天涯孤独。 遺産はうちの両親にということをきちんと事務的に準備してあった。

小父さんが暮らしていた所はうちからかなり遠方だったが、その役所から連絡を受け、小父さんの家に行ってみて驚いた。 役所のほうで誰も入れないようにしてくれたらしく、玄関や窓などには板が貼られていた。 それらの処置をした工務店の人と会い、鍵を受け取っていざ家の中へ。 一人暮らしのお年寄りに多いのかもしれないが、物がたくさん。 買って使っていない布団類、家電類、食品等。 比較的清潔に暮らしていたみたいだが、それでも物の量が半端なかった。

そして問題が一つ。 実は、銀行を信じない小父さんは自宅に現金があることを両親に伝えていた。 遺品を整理しつつ探すと、銀行の預金通帳と印鑑があった。 聞いていた額の現金もあるはずと探したけど、それは見つからなかった。 というか、部屋はどこも小父さんが亡くなった時のままのようで、きちんと片付いていたのだが、一か所、トイレだけがすごく荒らされていた。 どう見ても土木関係の人とかが便器までも取り除こうとしたかのようでぐちゃぐちゃ。 (おかげで、何日もかかった部屋の片づけの途中、トイレに行きたくても使うことができずすごい不便な思いをした)

ここからは推測だけど、こういった独居老人の家の片付けとかゴミ収集、それから役所の担当の人たちの中には、高齢者がどういう場所に現金をしまいがちか知っているのではということ。 たぶんトイレのどこかだったのでしょうね。 現金はなかった(千万単位なんだけど)。 自分で稼いだお金ではないので両親も私もそれ以上は詮索せず、廃品回収みたいな会社に頼んで、家にあった物を全て処分してもらいました。 それにしても後味が悪かったことは確か。 そんなお金を手にしてうれしいのかなとか思ってしまった。

著者はとにかく一人で亡くなった後長い時間見つけてもらえないという状況は作らないようにしましょうと訴えていた。 著者なりのアイデアなども述べられており、こういう問題は行政、地域、個人の全てがきちんと考えて協力して初めて解決していくのだろうと思う。

 


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